ご入居者様 ご家族様 ~ ご理解いただけますこと願っております ~
この夏、幼少時代をふりかえってみますと・・・
真っ黒に日焼けしながら一日中自転車に乗っていたように思い出します。
友達と“何をするわけでもなく”公園から学校、そして、広場から大きな赤い橋、急いでも、ゆっくりでも自転車のペダルをこげば、前に進みどこまでも行けると信じていました。
時には、自転車の前“かご”に愛犬を乗せたり、ポケットにアオガエルを入れて走ったりしていました。
真っ白な大きな入道雲に向かって走り、降り出した夕立の中を走り、虹の色を数えながら走ったものです。
そして、ずぶぬれの泥だらけの洋服で家に帰り「お腹が空いた」と言えば、何かしら食べ物が出て、家には母親が必ずいるものという家庭環境で育つことができました。
なので、学校帰り“かぎっ子”の家に遊びに行くと、首から下げた鍵で玄関を開けるランドセル姿の友達の後ろ姿を見ながら、何か不思議さを感じながらどこか大人っぽく恰好がよいと思ったこともありました。
自分は、自宅のカギを持たされたことは一度もなかったと思います。
それどころか、台所で“お湯”を沸かしたこともないし、たぶん“包丁”なんて見たこともなかったと思います。
そんな世間知らずの常識に欠けた自分ですが、この夏 挑戦したいことがあります。
それは、ミソノピアのすばらしい環境があるからこそ、実現できると確信しております。
ご入居のみなさんの共有部のディルーム周辺を一時、お借りしたく存じ上げます。
ディルームの隣に自分のデスクがあり一日の大半を過しています。毎日、にぎやかな笑い声を聞きながら働かせていただいております。
「ここに来ればだれかがいる」「あたたかいコーヒーが飲みたくなったらここに来る」「おしゃべりしたい」
きっとディにいらっしゃるご入居者様も、働いているスタッフも“安心できる空間”としてディルームで過ごされていることでしょう。その“安心できる空間”を地域の子どもたちに使用させていただきたいのです。
瀬戸市助成金事業として「ミソノピア こども食堂」をはじめさせていただきます。きっかけは、「お家からなかなか外に出られない」 というある男の子の話を聞いたからです。
男の子にとって、「お家が安心な空間」ということならそれでよいのかもしれません。
しかし、
“今この瞬間”テレビ画面やゲームでは感じられないことがあることも知ってもよいのではと考えました。
ディルームは庭園の散策路に囲まれています。ディルーム窓から夏の新緑、若葉が見えます。
木々の緑は初々しく鮮やかな緑色をしています。若葉から青葉へ、そして、濃い緑色に変化していきます。
子どもたちに対しての学術的なものは一切ありません。従って何もできないかもしれません。
しかし、もしかして、たったひとりだけでも、この安心する空間で一時過ごしてくれる子がいるかもしれません。
『また、来たい!』と発言してくれる子がいるかもしれません。そしたら、その子と語り合えたら素敵です。
「 入道雲にどうしたらのることができるだろうか? 」
「 夕立にふられたら、シャンプーと石鹸でカラダを洗うとどうなるだろう? 」
そして「 必ず、虹はつかめるよ! 」と。
2023年7月10日 廣井 健吉
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