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エール

執筆者の写真: misonopia aichimisonopia aichi

ご入居者様 ご家族様  

季節外れですが・・・自宅の大掃除をしてきました。

子ども部屋はもちろんのこと、リビングなどでダイニングテーブル、テレビ、ソファなどの移動し模様替えを

しました。

目的は、「のびのびと飼い犬が走り回れるため」・・・・そう、すべてが、お犬様優先です(笑)

片づけをすすめていると、子どもたちが読んでいた本、自分が仕事の役立てるための本にまぎれて、古びた表紙でなつかしい一冊の絵本が出てきました。


1981年発行 小学校低学年向き 創作絵文庫 「 びんのむこうはあおいうみ 」

作者:加藤多一 (1934年6月1日 – 2023年3月18日) 日本児童文学作家

~あらすじ~

主人公は、小学2年生男の子です。

2歳の弟にお父さん、お母さんをうばわれたという気持ちをもちながら・・・

お父さんの突然の交通事故、そのためにお母さんは、働き始める、そのような状況で、北海道の短い二十日間の夏休みにもかかわらず楽しみにしていた“海”にも行けず、叔父が経営している牛牧場にあずけられ、

双子の“子っこ牛”(子牛)のめんどうをみながら、少年の心身の成長をやさしく物語る

舞台は、オホーツク海から30キロ内陸に位置した 北海道の東部 美幌町(ビホロ)にある牧場です。

本の帯には・・・<ラムネはかあさんのあじがした>

ヨシユキ(小学2年生)は、牧場にいる間、母さんが恋しくてなりませんでした。

その母さんが、迎えに来てきてくれたのです。美味しそうなラムネをお土産に・・・。

ヨシユキは飲みたいのに我慢しました。「母さん 先に 飲んでいいよ」ヨシユキは、母さんに何かしてあげたかったのです。


世の中、夏休みが終わり、秋がはじまったこの季節、このようなタイミングで、何かのメッセージが込められたかのように幼少時代、少なくとも10歳の時に読んだと思われる本が自分の前にふたたびあらわれたのです。


本の最後の場面をご紹介させていただきます。


「ねえ、母さん。見てよ」ヨシユキは、両手を前に出しました。双子の子牛が頭を揃えて、その手を音をたてて吸いました。「まぁ、すごい、かわいいわね」母さんは驚いてばかりいます。


母さんは、バッグの中から、瓶を取り出しました。ラムネです。

「見て、これ。美幌駅前で売っていたの」母さんは、ポンと栓を抜いて、ヨシユキに瓶を渡しました。

「母さん、先に飲んでいいよ」ヨシユキは、母さんに何かしてあげたかったのです。

母さんはヨシユキをちらっと見てから、瓶に口をつけて飲んだ振りをしました。

「さ、ヨシユキ」ヨシユキも飲んだ振りをしようと思って、ちょっとだけ飲みました。

冷たくて、甘くてとても美味しい・・・。あ、と思った時、瓶の中はもう、空っぽになっていました。


ヨシユキは、悔しくて、涙が出てきました。

<母さんに飲まそうと思ったのに・・・>涙は、どうしても止まりません。

母さんに涙を見られないように、ヨシユキは、顔を子牛たちに向けました。子牛たちが、不思議そうにヨシユキを見ています。

「あのね、父さんの手術上手くいったよ。すごくヨシユキに会いたがっていた。

母さんもいい会社に移れそうだし。ケンジ(二歳の弟)は、今日はお友達にあずかってもらっているけど、

頑張っているよ」母さんは独り言のように言いました。


「ねぇ、ヨシユキ、こうすると海が見えるよ」母さんはラムネの瓶を夕焼けの空にかざして見ています。

ヨシユキも瓶を受け取って空にかざしました。

瓶の中で、ガラス玉が<カリン>となりました。

「ほんとだ。海みたいだ」ラムネの瓶の向こうに、青い海がゆれています。

あんなに行きたかった海が瓶の中に広がっています。


ヨシユキは、父さんに会ったら、この海のことを話してあげようと思いました。


「さぁ、みんなで頑張るぞ」母さんがヨシユキの背中におぶさるようにして、叫びました。

力強い、母さんの手でした。


「母さん、瓶の向こうの海も夕焼けだよ」

「どれどれ」


母さんはほっぺをつけてきました。二人は夕焼けの海のなかにいました。


40年振りに本を読み終わると、幼少時代の自分が、今の自分に「エール」を送ってくれたように感じました。

きっと応援してくれているのかもしれません。もしかしたら、成長を促しているのかもしれません。

それよりも・・・“心に栄養を”と注意喚起しているのかもしれません。




第450回 運営懇談会にて、『 第40期 決算報告 』をさせていただきました。

たくさんのご入居者様にご理解いただけたこと大変有難きことと受け止めています。


今日からも、ミソノピア全スタッフで「目の前のご入居者様に喜んでいただく」

そのためには「となりのスタッフと肩を組んでいく」を心がけて日々、穏やかに素直な気持ちで働いていきます。




2024年10月10日 廣井 健吉

閲覧数:37回1件のコメント

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1 Comment


諒 牧村
諒 牧村
Oct 09, 2024

昭和のよき時代を生きた人間として、とても懐かしく読ませていただきました。 あの時代に生きたことが私の一生の「宝物」です。 ありがとうございました。

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