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  • 執筆者の写真misonopia aichi

さまざまな砂

ご入居者様 ご家族様  

長いこと介護業界にて働かせていただいて思うことがあります。

介護業界では、ときとして・・・・理想の介護ホームとは“砂上の楼閣”と例えられたりします。“砂上の楼閣”とは、みなさまご存知のように、「見かけは立派であるが、基礎がしっかりしていないために長く維持できない」の物事の例えです。


介護ホームとは、さまざまなご入居者様が生活されている場所であり、いろんなスタッフが働いている場所でもあり、そのようなところから、「不安定で移ろいやすいもの」と言われたりします。つまり介護ホームにとって“砂上の楼閣”とは、いくら高層で立派な建物であっても、砂の上(働いているスタッフ)のような、不安定な場所に建てればたやすく倒壊してしまう・・・と例えられます。『理想の老人ホーム』とは、“砂上の楼閣”のもうひとつの意味のように「実現が不可能なこと」「現実味ないこと」であり、そもそも砂の上(働いているスタッフ)に高層で立派な建物を建てることは、現実的に考え無理があると言われてしまい、自分の経験でも幾度も悔しい思いをしてきたことがあります。


この度、神奈川県にあるひとつのホーム運営に関わらせていただいていることから、再度、自分自身を鍛え直さなくてはということで、“砂上の楼閣”の由来を調べてみると、新約聖書「マタイによる福音書」に書かれているとのこと。


「 わたしの言葉を聞くだけで行わない者は皆、砂の上に家を建てた愚かな人のようである。雨が降って川があふれ、風が吹いてその家に襲いかかると、倒れて、その倒れ方がひどいありさまである。 」


と、山上でイエスキリストは、説教をされたとのことです。そうです、長年悔しい思いをしてきた理由は、不安定な“砂”と“スタッフ”を同じような意味で例えられ、同じような意味の結果が生まれてきたことです。しかし、自分は、砂浜を走ることでのよき効用も知っている“なんちゃって海辺育ち”の人間です。悔しい思いばかりでは終わらせません。


砂浜の不安定な砂の上で走ることでバランス感覚が鍛えられました。そして、砂浜で走ると、砂が動くことで、バランスと運動協調性を試すこととなるようです。効率的に前進するために、足を踏み出すその瞬間まで、足首や膝、尻の角度などあらゆる部分を細かく調整する必要がでてきます。砂浜で走ると、片足で全体重を支える動きを高速で繰り返す運動なので、バランス感覚が向上すればそれだけで技術、質も向上します。足首や、膝など安定性を担う筋肉が鍛えられたら、怪我にも強くなります。


そこからの考えです、なんども、なんども、毎日“砂の城”をつくり建て直したらいいと覚悟決めました。そして、さまざまな砂をもっと知り、適度にうるおいながら、固めることが大切になっていくのでしょう。


私たちスタッフの心は砂でつくられていませんが、「自分だけがよければいい」と考える利己の心と、「自分を犠牲にしても他の人を助けよう」とする利他の心があるのかもしれません。さまざまなできごとを利己の心で判断すると、自分のことしか考えていないので、誰の協力も得られません。自分中心ですので視野も狭くなり、間違った判断をしてしまうかもしれません。しかし、利他の心で判断すると「人によかれ」という心ですので、周りの人みんなが協力してくれます。また、視野も広くなるので、正しい判断ができるのです。より良いホームづくりをしていくためには、自分だけのことを考えて判断するのではなく、周りの人のことを考え、思いやりに満ちた「利他の心」に立って判断ができるスタッフへと成長するのみです。

2024年4月10日 廣井 健吉

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