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  • 執筆者の写真misonopia aichi

ミソノピアの風に漂いながらエッセイ 「象・そしてエレノア」


決して忘れない、そして忘れてはならない象のお話をしよう。

ダフニー・シェルドリックという英国系女性が、アフリカに動物の孤児院をつくり、親が殺されたり、親とはぐれた動物孤児を育てていた。

エレノアは二歳のときに孤児として、ここへやってきたメスの象である。

孤児として育てられた動物は、成長をしたらやがて森へ還ってゆく。ところがエレノアは成長してもなぜか森へ戻ろうとせず、あえて孤児院にのこった。


そしてエレノアは森で親を亡くした子象をみつけると孤児院につれてきて、まるで自分の子どものようにして育て、野生の象としてふたたび森へ戻ってゆく教育の手助けをしていた。それは象の赤ちゃんだけでない、シカであったりサイであったり、ダフニーのもとに送られてくるあらゆる動物の孤児たちの母親となっていた。


象はたいへん深い皺の脳をもち、複雑で洗練された心を持っている。

象の社会に主導権争はない。一頭の年老いたメスが群のリーダーになり統率をする。

道具をもたない象は、記憶のすべてを脳から脳へと伝えていく。だから経験の豊富な長老の象は、仲間からたいへん尊敬される。 思春期を迎えた象は、群れを出て老いたオスの処に行って修行をする。 老いたオスは、いかに自分を律するかということや、誇りや威厳というものについて若い象に教える。

象の仲間に赤ちゃんが産まれると、仲間のすべてのメスが赤ちゃんのめんどうをみる。たまたま、ほかの群からやってきたオスの象でさえ、その赤ちゃんをこよなく愛すという。水飲み場ではほかの動物と決して争わず、水を分かち合ういたわりとやさしさをも持っている。












さてお立ち会い。

象の長い鼻は地上の蟻一匹さえ嗅ぎわけることができる。

地面にのこされたニオイによって、その場所で何日も前に起こった出来事を正確に知り、鼻をもちあげれば何Kmも離れた場所に棲む生き物のことや、そこでおきた出来事を知ることができる。

大きな耳では、人間には聴くことのできない低周波を使い、はるか離れた仲間と話をしている。一種のすぐれたテレパシー能力をもっている。


象は自分の死を知っている。象は絶食にはきわめて弱い動物である。最期が近づくと食べ物をとらず、わずか一日で死を迎える。その死の姿はじつに静かで平和である。

象は仲間が死んだ場所に何度も何度も足を運ぶという。彼らは死という意味を知っているのだ。

人間は象牙をもとめて、象の大量殺戮をくり返してきた。象牙のターゲットになっているアフリカ象は、この100年で1000万頭が35万頭にまで減少した。

今では世界各国が象牙の使用を禁止している。2017年には象牙使用の歴史の長い中国でさえ取引を禁止したなか、現在「日本は世界一の象牙消費国」となっているではないか。


象は象牙が自分たちの社会に、おおきな悲劇をもたらしているということを知っている。

象は殺された仲間の白骨化した遺体を見つけると、象牙を取り外そうとする。取り外した象牙は粉々にされ、遠くの森の人目につかぬ場所に持って行く。

仲間の理不尽な死にたいする、最後のはなむけである。

象は【人間が地球上でもっとも野蛮で残忍な生き物である】ことを知っている。

そのことは彼らのもつ深い皺のある脳にしっかりと刻みこまれ、語り継がれている。

野生に育たなかったエレノアは、しかし、つねに野生の仲間と交信し合って情報をもらっているにちがいない。

エレノアは象牙がもたらす悲劇を知っていた。

人間がエレノアの仲間に何をしたのかも知っていた。

それでもなお、エレノアは人間を愛そうとしていた。


ぜったいに許せないことを許す

それこそが最高のやさしさであり

強さでもある







ダフニー・シェルドリックはケニア ナイロビで、

エレノアはケニアのツァボ国立公園で亡くなり、アフリカの大地に還っていった。


Thank you so, so much♪


I wish you both happiness in heaven



閲覧数:79回1件のコメント

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もみの木

1 Comment


kataro8682
Sep 02, 2023

「象・そしてエレノア」を読みました。知らないことがほとんどで、象さんを見直しました。みんなにほし読んでエッセイです。山田太郎

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